なぜ住宅ローンごときで自己破産?
住宅ローンを借りて、一番気をつけないといけないのは、返済を滞らせることだ。
アメリカの住宅ローンは、ノンリコースローンと言って、担保物件(モノ)に対して融資を行う。
なので支払いが滞ってローンの返済ができなくなっても、担保物件を引き渡して引っ越せば、ローンは残らない。
民主主義国のアメリカでは、融資はあくまでも貸し主責任であり、貸し倒れになった担保物件を回収(没収)したら、それでそのローンの取引は終わりになるのだ。
ところが日本の住宅ローンは、そうではない。
日本では金を貸す場合、借り手の全資産を担保にして融資する。
きれいに言えば「人に貸す」(といいつつ担保も取る)、汚く言えば「どこまでも取り立てにくる」。
不動産を担保にとって金を貸すのは、金を返すための資産(返済原資)として差し押さえているという意味しかない。
なので担保物件を売却してもローン残高に満たなければ、差額はあくまでも借りた人間の借金として残る。
つまり借り入れは、その個人が全額返済するか、その個人が死ぬまで付きまとうということだ。
だからローン残債>資産価値となった担保割れ物件は、抵当権ごと買ってもらわない限り売却できないし、借り換えローンも滅多に利用できない。
しかし資産価値より何割も高い値段で不動産を買うような、太っ腹な買い手は滅多に見つからないから、住宅ローンが支払えなくなったら、住宅は競売にかけられた上、自己破産するしかなくなる。
つまり頭金ゼロで不動産を買ったり、ボーナス月に割り増しで返済するプランで不動産を買うと、ローン返済に追い回される人生になったり、自己破産するリスクが非常に大きくなるというわけだ。
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ローン返済を滞納すると、優遇金利が取り消される
月々の返済が苦しいと感じたなら、その時点で返済プランの変更を、ローン会社などに相談すべきだろう。
ボーナス月払いプランなら、ボーナス月の上乗せをやめればよいし、月々の支払額が多すぎるなら、それを下げてもらうと言うことも可能だ。
住宅金融支援機構の住宅ローンなどでは、収入が2割以上減ったり、ボーナスがなくなったり、子供の養育費で生活が苦しくなった場合に、返済プランを変更(リスケジューリング)することができる。
ただし50代以降に住宅ローンを組む場合、ローンを延長するだけの時間的余裕がないから、とにかく頭金をしっかり準備し、月々の支払いが楽に払える金額になるように、ローンの返済計画を立てて臨まねばならない。
また住宅ローンの返済を滞らせると、その後の返済額が増えてしまう。
住宅ローンの金利には、表面金利(店頭表示金利)と優遇金利というのがあり、最初は優遇金利が適用されていることが多い。
優遇金利というのは、表面金利より1%程度安い金利で、ローン会社が顧客獲得のために行う「集客策」の一つだ。
たとえば優遇金利が「-1%」で表面金利が3%なら、実際に適用される金利は2%になる。
ただしこの優遇金利は返済を滞納すると、打ち切られて表面金利に戻ってしまう。
何回滞納すると表面金利に戻るかは、ローン会社によって様々なようだが多くても3回が限度のようで、3回滞納したらどのローン会社でも優遇金利を打ち切るようだ。
数千万円に対しての1%だから数十万円で、滞納してしまうとその後は、毎年毎年、数十万円も支払いが増えてしまうわけだね。