木造の建物は、風通しが命

木造の中古住宅リフォームで難しいのが、断熱リフォームだ。

 

耐震改修や耐震リフォームであれば、必要なリフォームを施工して耐震性を高めれば良い。

 

しかし断熱リフォームは、耐震リフォームのように一筋縄ではいかないのだ。

 

というのも断熱リフォームは、失敗のリスクがあり、なおかつ修正しにくいリフォームだからだ。

 

断熱リフォームが必要な物件というのは、木造物件なのだが、材木は水に弱い。

 

木が水に浸かっていると、腐朽(ふきゅう:腐って朽ちる)したり、シロアリにやられたりする。

 

それを防ぐため、木造家屋では床を高くし、風通しを良くすることで、長持ちさせている。

 

現代の木造家屋の基礎は鉄筋コンクリートでできているが、通気口がいくつも設けられているのも、床下の風通しを良くして湿気が籠もらないようにするためだ。

 

また鉄筋コンクリートの基礎がない神社仏閣も、人が楽に床下に潜り込めるくらいに床が高く造られているし、水が溜まりやすい部分には、雨よけの小さなヒサシが付いていたりする。

 

木造建築は、こういった様々な湿気を取り除く工夫で、何十年も持つわけだ。

 

ところがその結果、冬は非常に冷えてしまう。

 

家中の風通しが良いわけだから、どんどん熱が逃げて、床や壁が冷える。

 

床や壁が冷えると、いくらストーブを焚いても、部屋は暖かくならない。

 

というのも体感温度というのは、周囲の物体の輻射熱から感じるモノなので、いくら室温が暖かくなっても、床や壁が冷えたままだと、暖かく感じないのだ。

 

そこで床や壁に断熱材を入れて断熱するのだが、そうすると今度は風通しが悪くなって、湿気が籠もってしまう。



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断熱材を入れると、空気の流れが悪くなり、結露する

木造家屋は、木材を長持ちさせるため、風通しが良い。

 

そのため冬は非常に寒くなるので、床や壁、窓や出入り口と言った部分から、熱が逃げないように断熱リフォームを行う。

 

床や壁に断熱材を入れたり、窓を二重サッシにしたり、高断熱複層ガラスを入れる。

 

ところがこれがまた別の問題を引き起こす。

 

それが結露など、湿気の問題だ。

 

断熱すると風通しは当然悪くなるので、どこかに湿気が溜まりカビが生えたり、水が溜まって木材が傷んだりするのだ。

 

窓は元々ガラスだから、二重窓にしても良いのだが、壁は断熱材を入れると、どうしても湿気が溜まりやすくなる。

 

特にグラスウールやロックウールのような吸湿性がない断熱材は、断熱材の表面に水が付いて溜まっていく。

 

断熱材を挟んだ境界面には温度差ができるので、そこで結露が発生して木材が湿るのだ。

 

さらに空気の流れがなくなると、ホルムアルデヒドなど、建材に含まれる化学物質が部屋に籠もって健康に悪い。

 

唯一の解決策は、吸湿性がある素材を断熱材に使うことだが、これがちょっと高い。

 

断熱リフォームというのは、そういうわけで、いろいろ矛盾をはらんでおり、なかなか難しいのだ。

 

断熱材の種類と長所短所
断熱材の種類 長所 短所
グラスウール 安い。燃えにくい。火に強い。防音・吸音もできる。 湿気やすい。ズレたり偏ることがある。
ロックウール 燃えにくい。火に強い。防音・吸音もできる。 湿気やすい。ズレたり偏ることがある。
セルローズファイバー 燃えにくい。火に強い。防音・吸音もできる。 高い。湿気を通す。
羊毛断熱材 燃えにくい。火に強い。防音・吸音性能が高い。 湿気やすい。
ポリエステル断熱材 安い。火にも多少強い。防音・吸音能もある。 湿気やすい。
ポリスチレンフォーム 断熱性能が高い。湿気にくい。 防音性能はない。
硬質ウレタンフォーム 断熱性のが高い。湿気にくい。 防音性能はない。
発泡ポリカーボネート 湿気にくい。 防音性能はない。

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