リフォームするかどうか
老後の住まい探しでは、購入後にリフォームするかどうかも、物件選びを左右する。
購入後にリフォームを考えているならば、骨格さえしっかりしておれば良いので、現状がぼろぼろでも構わないだろう。
しかし購入後にリフォームを考えないならば、現状のまま入居することになるので、リフォーム済み物件や、リノベーション済みの物件を探したほうが得になる。
ただしリフォームにもいろいろなレベルがあって、壁紙を変えるだけのリフォームから、キッチンやバス・トイレのユニットを入れ替えるリフォーム、間取りから外観まで変えてしまうような、大規模なリフォーム(リノベーション)まである。
また見栄えだけではなく、火災や地震などの防災対策も、リフォームでは重要になってくる。
特に1981年以前に建てられた、築20年以上の建物では耐震性が劣っていて、耐震性を増強するリフォームが必要だから、中古住宅を購入してリフォームするなら、相当の出費が必要になるかもしれない。
また建物の構造によっては、できるリフォームと、できないリフォームがある。
たとえば木造の在来工法(軸組み工法)や鉄筋コンクリート造り(RC造)のラーメン構造では、柱や梁が邪魔でも、これを取り除くわけにはいかない。
それどころか、これらの工法では耐震性に欠けるので、壁を増やしたり柱を太くするようなリフォームが必要かもしれない。
一方、木造でもツーバイフォーや壁式構造のPC造(プレキャスト・コンクリート)では、耐震性がすでに十分にあるので増強は必要ないが、壁をぶち抜いて広い空間を作ることはできない。
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リフォームの費用は、数十万から2,000万
リフォームにも色々あって、費用もピンから切りだ。
内装の変更では30万円程度、和室を洋室に変更するなら50万円程度。
さらにキッチンやトイレ・バスなどのユニットを一新するなら、500万から1,000万。
一戸建ての耐震補強から外装までを全部変えるなら2,000万円くらいかかるという。
というのも、これくらいしないと、新築並みの住宅環境が作れないのだ。
新築物件は、最新の建築基準で建てられており、かなり快適な造りになっている。
建築基準にはいくつかの節目があって、建てられた時期によって、建物の基本性能が異なっている。
たとえば
- 1981年…耐震性能基準が変更
- 1998年…省エネ性能基準が追加
- 2003年…24時間換気システムの設置
よく知られているのは81年の耐震性能の基準の変更で、これ以前に建てられた建物は、震災レベルの地震には耐えられない。
そのため81年以前の建物のリフォームでは、必ず耐震性を増強するリフォームが必要になる。
また98年以前に建てられた建物では、断熱性に欠けるので冷暖房費が高くつくかもしれない。
03年以前に建てられた建物では通気性が悪い場合があり、シックハウス症候群やカビによる健康被害の対策も必要だ。
こういう風に、建物自体の基本性能が劣っている物件を買って、新築並みの機能にしようと考えると、リフォームの費用もふくれあがって、1,000万から2,000万になるのだ。
駅前などの立地が良い物件であれば、これだけの費用を掛けてリフォームしても元が取れるが、悪い立地の物件なら、リフォームするより新築の方が安いかもしれない。
そうなるとリフォーム済み・リノベーション済みの物件を探した方が賢明だろう。