サブプライムローン破綻でなぜ世界金融危機に?
住宅ローンを組むには、頭金は2割以上必要だ。
というのも頭金ゼロで物件を手に入れると、買った家の資産価値よりローン残高が上回り、売却も借り換えもできなくなる。
できることと言えば、繰り上げ返済くらいであるが、2割の頭金も用意できないのだから、繰り上げ返済なんかとうてい出来はしない。
「頭金ゼロ」で家が買えると言えば、アメリカのサブプライムローンを思い出す。
これは低所得者でも楽に家が買えるという触れ込みで大流行した。
サブプライムローンの金利は、普通のローンより1%ほど高いのだが、ローンの資格審査基準が緩くて誰でも申し込めた。
さらに最初の数年間の返済額が少なく設定されており、その間に家の資産価値が上がれば、低利のローンに借り換えたり売却して儲けることができた。
当時のアメリカの住宅価格は緩やかに上昇していたから、これは儲かるぞ、得だぞと言うことで大流行したのだ。
しかし住宅ブームがピークを迎えて、価格の上昇が止まったために、返済が滞って不良債権化し始めた。
それがさらに2008年のリーマンショックにつながって、世界金融危機を引き起こし、世界同時不況が起こったわけだ。
なぜ住宅ローンの返済が滞っただけで、金融危機が起こったかというと、アメリカではローンの返済が滞っても、担保物件をそのまま差し出せば、借り主のローンの支払い義務がなくなるからだ。
民主主義の国アメリカでは、融資はあくまでも貸し主責任であり、借りた側は担保を失うだけで借金は残らない。
ローンの損失は金融機関が被ることになるので、リスクの高いサブプライムローンの債権は、リスク回避のためにあらかじめ、他の債権と組み合わせて他の金融機関や投資家に再販されていた。
そのためサブプライムローンの破綻によって、信用収縮の連鎖が発生して、世界金融危機までに発展したわけだ。
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ボーナス月払いは避けるべき
民主主義の国アメリカでは、不動産ローンは貸し主責任のノンリコースローンだ。
ノンリコースローンというのは、ローン返済が不可能になった場合、担保を差し出すだけで良いローンで、金が返せなければモノを渡せば良い。
なのでアメリカのサブプライムローン問題は、あくまでもローン会社が大損して倒産しただけで、ローンの利用者は、引っ越しただけで借金は抱えない。
ところが日本の住宅ローンは、借り手の全資産を担保としたローンだ。
金を借りる場合、借り手は自分の持っている資産や労働力を全て投げ打ってでも、返済に当たらないといけない。
これは日本の民事法(民法や商法)の大原則であり、住宅ローンで担保物件を差し出してもなお、借金が残ってしまうのはこのせいだ。
つまり、日本で住宅ローンを借りた場合、途中で払えなくなってもローン返済はやめられない。
返済が滞ると優遇金利が受けられなくなり、さらに総支払額が増えてしまうから、大損だ。
なので毎月絶対に返済できる金額で、住宅ローンを組まないとえらいことになってしまう。
そういうわけなので、ボーナス月に割り増しで返済するプランも絶対に避けるべきだろう。
ボーナス月返済にすると、借り入れ額が上乗せできるため、ついうっかりボーナス月払いを選びがちだが危険である。
というのもボーナス月の割り増し金額は意外に堪えるもので、そこで返済が滞って高い金利を払う羽目になる。
そうならないように毎月均等払いにして、ボーナスは繰り上げ返済に使うのが賢いやり方だ。